唯一無二のカリスマ性で多くのファンを魅了するアーティスト、GACKT。
彼のストイックな生き方や発言は常に注目の的ですが、その中には科学的根拠が乏しいとされるものや、専門家から「デマ」と指摘されるものも少なくありません。
この記事では、これまでGACKTが発信してきた様々な主張について、事実関係を整理し、多角的に検証していきます。
1. 食事と健康に関する言説
「どうやったら若くいられますか?」
という質問に対し、
「食事がすべて」
と答えると、
Xでは否定派が湧き、THREADでは肯定派が溢れる。否定されようが、肯定されようがボクの考えはこれからも率直に発信していく。
読みたくない人はブロックしてくれ。「毎日食べている物が、自分自身」…
— GACKT (@GACKT) August 5, 2025
GACKTの哲学の中でも特に注目されるのが、徹底した食事管理です。しかし、その一部は専門家から疑問視されています。
食事による劇的な体調改善の主張
発言内容:
19歳まで病弱だったが、「薬の摂取をやめ、食生活を見直してから、一年でカラダの状態が劇的に変わった」として、「毎日食べている物が、自分自身」「食事がすべて」と主張。
疑問点:
・個人の体験談を一般化して主張
・薬学医学を完全否定はしないとしつつも疑問視
・科学的根拠を求められても「自分で調べろ」と回答
筆者の感想:
個人の体験は貴重ですが、それをそのまま他の人に当てはめるのは危険です。医学的な判断は専門医に委ねるべきでしょう。
「先進国でガンが増え続けているのは日本だけ」という主張
GACKTの発言: 2025年8月6日のSNS投稿で「先進国でガンが増え続けているのは日本だけ。医学は進歩しているのにおかしい」と主張しました。
専門家の反論: これに対し、医師の知念実希人氏は「明らかなデマ」と断言。国立がん研究センターのデータを基に、日本の「年齢調整後のがん死亡率」は一貫して低下しており、罹患率も全体として大きな増加はないと説明しました。高齢化に伴う患者数の絶対的な増加は、多くの先進国に共通する傾向です。
筆者の感想: 健康に関する情報は人々の行動に直結するため、非常に繊細な扱いです。特に影響力の大きい著名人が発信する際は、正確なデータに基づいた慎重な姿勢が求められると感じます。
極端な食事制限
GACKTの主張:
「26歳から米を食べない」
「1日1食」
「最大40日間のファスティング(断食)」など、極端ともいえる食生活を公言しています。
専門家の見解: これらは、アスリート並みのトレーニングを行うGACKTだからこそ可能なライフスタイルであり、一般の人が安易に模倣するのは危険だと指摘されています。
特に専門家の指導なしでの長期間の断食は、深刻な健康被害を招くリスクがあります。
筆者の感想: GACKTさんの自己管理能力は驚異的ですが、それはあくまで個人の特別なケースです。彼の体験談を万人に当てはまる「健康法」として捉えるのは危険であり、健康管理は個々の体質や生活に合わせて専門家と相談すべきでしょう。
2. 新型コロナウイルスに関する発言
パンデミックの最中、GACKTのコロナに関する発言は大きな波紋を呼びました。
「コロナは風邪」発言
GACKTの発言: 2021年5月の配信で「もう風邪ですよ、これ。例年、風邪で亡くなる方もいっぱいいる」と発言しました。
専門家の反論: 医師からは「インフルエンザの死亡率が約0.03%なのに対し、当時のコロナの死亡率は約1.7%と桁違いに高い」といった反論が相次ぎました。ウイルスの特性や後遺症のリスクも異なり、同列に語るべきではないと批判されました。
筆者の感想: 多くの人々が未知のウイルスに苦しみ、医療現場が逼迫している状況下でのこの発言は、感染対策の重要性を軽視させかねない無配慮なものだったと感じます。
陰謀論とワクチンへの言及
GACKTの発言: 「世界的な仕掛けがある」「(製薬会社の)ファイザーは10年間赤字だったのに今年3兆円の黒字化に成功した」など、陰謀論を示唆。また、「ワクチンを打たない人を完全否定する国ってどうなんですか?」と、ワクチン行政への疑問も呈しました。
事実関係: ファイザー社が「10年間赤字だった」という点については根拠が不明確です。ワクチンに関しても、科学的根拠に基づかない発言は社会の混乱を招くと批判されました。
筆者の感想: 言論の自由は尊重されるべきですが、公衆衛生に関わる問題では、科学的根拠に基づいた冷静な議論が不可欠です。根拠の薄い陰謀論は、社会の分断を煽るだけで建設的ではありません。
3. その他の疑惑と騒動
彼の活動は音楽にとどまらず、時に大きな騒動に発展することもありました。
仮想通貨「スピンドル」問題
概要: GACKTが広告塔を務めた仮想通貨「スピンドル」の価格が暴落し、多くの投資家が損失を被りました。
運営会社は無登録業者であったことも問題視され、GACKT自身は価格が暴落する前に売り抜けていたとも報じられています。
筆者の感想: 投資は自己責任が原則ですが、著名人が広告塔となることで、その信頼性を過信してしまう人も少なくありません。結果的に多くの人が損害を被った事実に対して、道義的な責任は大きいと言えるでしょう。
不倫疑惑と活動休止
概要: 2021年、重度の発声障害を理由に無期限の活動休止を発表しましたが、その直後に週刊誌で不倫疑惑が報じられました。
筆者の感想: プライベートな問題ではありますが、ファンが彼の体調を心配している中での報道だっただけに、その行動に疑問の声が上がるのは仕方ないかもしれません。
まとめ:カリスマ性と社会的責任の間で
GACKTの生き方や発言は、彼の揺るぎない信念とカリスマ性に基づいています。しかし、その影響力が大きいからこそ、特に健康や科学に関する分野では、客観的な事実に基づいた発信が求められます。
彼の言葉を盲信するのではなく、専門家の意見や公的なデータも参考にしながら、私たち一人ひとりが情報を正しく見極めるリテラシーを持つことが重要です。GACKTという類まれな表現者には、今後、その影響力をより良い形で社会に還元していくことを期待したいと思います。