2025年8月、食品大手ミツカンが公式X(旧Twitter)で謝罪する事態が発生しました。
一見何の問題もないような冷やし中華のレシピ投稿が、なぜ大きな炎上に発展したのでしょうか。その背景と時系列を詳しく解説します。
そもそもの発端:そうめん論争の勃発

そうめん論争とは?
炎上の背景を理解するためには、まず2025年8月上旬からX上で巻き起こっていた「そうめん論争」について知る必要があります。
この論争の発端となったのは、
「7分茹でるパスタが男子大学生の手抜きメシとして知られる一方、主婦がそうめんを一束2分で茹でるのは重労働だとキレ散らかす我が国」
という投稿でした。
【一言感想】
この投稿自体が既に煽り要素満載で、炎上の火種としては十分すぎる威力がありましたね。
論争の対立構造

この投稿を機に、X上では大きく2つの派閥に分かれて議論が白熱しました:
「簡単派」の主張:
そうめんは茹で時間2分で簡単
パスタより手間がかからない
家事なんて一人暮らしの大学生でもやってる
「大変派」の主張:
そうめんだけでなく天ぷらや薬味の準備が必要
暑いキッチンで作業するのが辛い
「そうめんでいいよ」という言葉が問題
【一言感想】
どちらの言い分も分かりますが、結局のところ「作ってもらう側の言い方」が一番の問題だったんじゃないでしょうか。
バズった夫婦投稿の登場
冷やし中華対決投稿
そうめん論争が盛り上がる中、さらに議論を加熱させる投稿が現れました。
それが
「夫が30分キッチンに籠もって作った冷やし中華」と「私が👶🏻あやしながら10分で作った冷やし中華」
の比較投稿です。
この投稿では、夫が30分かけて作った冷やし中華と、妻が赤ちゃんをあやしながら10分で作った冷やし中華の写真が並べて投稿され、大きな話題となりました。
【一言感想】
この投稿、視覚的に分かりやすくて説得力があったからこそバズったんでしょうね。男女の家事に対する認識の違いが如実に表れていました。
ミツカンの問題投稿
8月13日:運命の投稿
そんな中、2025年8月13日にミツカン公式Xが投稿したのが問題となった内容です:
投稿内容:
「冷やし中華なんてこれだけでも充分美味しいです」
投稿には、茹でた中華麺に同社の「冷やし中華のつゆ しょうゆ」をかけただけのシンプルな冷やし中華の写真が添えられていました。
【一言感想】
普通に見れば商品PRの投稿なんですが、タイミングが最悪すぎました。空気を読まない企業アカウントの典型例として教科書に載せたいレベルです。
批判の声
この投稿に対して、以下のような批判が殺到しました:
「女性蔑視」
「栄養や食の楽しみを考えて献立を立てている人間を小馬鹿にしている」
「あえて主婦層への当てつけみたいな投稿」
「企業同士の悪ノリ」
「いじめとおんなじ」
特に問題視されたのは「冷やし中華なんて」の「なんて」という表現で、作り手の労力を軽視している印象を与えたとの指摘がありました。
【一言感想】
「なんて」という一言でここまで炎上するとは、言葉選びの難しさを痛感します。企業の中の人も大変だなと思いますが、これは確実に炎上予見できたはず。
擁護の声も多数
反対意見
一方で、ミツカンの投稿を擁護する声も多く寄せられました:
「なんで炎上したか私全く分からない」
「SNSの誹謗中傷怖すぎ」
「僕はあのツイート見て冷やし中華つゆを買いに行きました」
「同情しかない」
「投稿がそんなに重大な問題があったとは思えません」
【一言感想】
擁護派の意見も十分理解できます。でも炎上って結局、批判する側の声が大きくなりがちなんですよね。静観している人の方が実は多数派だったりするのですが。
ミツカンの対応と謝罪
8月15日:謝罪文投稿
炎上を受けて、ミツカンは2025年8月15日に公式Xで謝罪文を投稿しました:
謝罪文の要旨:
「この度、当社の8月13日の投稿により不快な思いをさせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。当該投稿は、暑い日でも、手軽にごはんを楽しんでほしいと、日々頑張っている人たちの後押しになったらという思いで、夏季休暇の時期に合わせて投稿を企画していたものでした。結果として、見てくださった方々のお気持ちを害してしまったことを、深く反省しています。」
同社は該当の投稿を削除し、今後は「発信の内容により一層の注意を払い、運用に努めてまいります」と表明しました。
【一言感想】
企業としては模範的な対応だと思います。ただ、本来なら投稿前にリスクを予見できたはずなので、体制見直しが必要でしょうね。
著名人の参戦
リュウジ氏の見解
料理研究家のリュウジ氏もこの論争に参戦し、8月13日にXで以下のようにコメントしました:
「そうめんは簡単か大変かが話題みたいですが素麺を家庭で作るのは他の料理に比べて大変ではないけど普段から毎日の食事を用意してない側が軽々しく『素麺なんて簡単』とか言わないでほしいって事じゃないのかな」
また、「『そうめんでいい』と『そうめんがいい!』には天と地ほどの差がある」と指摘しています。
【一言感想】
リュウジさんの解釈は的確でした。結局は言葉遣いと相手への配慮の問題なんですよね。料理を作る側の立場をよく理解されています。
炎上の本質的な問題

SNSの危険性
今回の炎上は、以下のような現代のSNSの特徴を如実に表しています:
文脈の重要性:同じ内容でも、タイミングや背景によって全く異なる受け取られ方をする
企業アカウントの責任:個人とは異なり、企業の発言は社会的影響力が大きい
炎上の連鎖反応:一つの論争が別の投稿を巻き込んで拡散していく
受け手の多様性:同じ投稿でも人によって全く異なる解釈をする
【一言感想】
企業のSNS担当者の方々は本当に大変だと思います。ちょっとした言葉選びのミスで会社全体の評判に関わってしまうのですから。
男女間の家事認識の違い
根本的には、この炎上は日本社会における男女間の家事に対する認識の違いが浮き彫りになった事件でもあります。
作る側(主に女性):準備から片付けまでの全工程を考慮
食べる側(主に男性):調理時間のみに注目
企業側:商品の便利さをアピールしたかった
【一言感想】
これって日本だけじゃなくて世界共通の問題なのかもしれませんね。家事の「見えない労働」部分への理解不足が根本にあるような気がします。
まとめ
今回のミツカン炎上事件は、以下の要因が重なって発生しました:
そうめん論争という下地があった
タイミングの悪さ(敏感な話題の最中に投稿)
言葉選びの問題(「なんて」という表現)
SNSの拡散力による炎上の加速
結果として、ミツカンは迅速な謝罪と投稿削除で対応しましたが、この事件はSNS運用の難しさと、現代社会における家事や男女平等に関する価値観の多様性を改めて浮き彫りにしました。
【最終感想】
企業のSNS運用って本当に難しいですね。今回の件で学べることは多いと思います。何気ない投稿でも、社会情勢や話題を考慮した慎重な運用が必要だということを、改めて認識させられる事件でした。ミツカン側に悪意はなかったと思うんですが、結果的に多くの人を不快にさせてしまったのは事実。今後はより一層配慮した発信を心がけてもらいたいものです。